【書評】『仮想通貨革命で働き方が変わる――「働き方改革」よりも大切なこと』野口 悠紀雄(著)
2018.1.4
カテゴリ:Book Review/Management/Social 著者:桑畑 健
2017年は、ビットコインを始めとする仮想通貨が、社会現象と言っても良いほど世間を賑わせました。
一方で、政府が打ち出した「働き方改革」は、今後の経営および、人材の雇用形態を考える上で、無視できないものと考えています。
本書のタイトルは『仮想通貨革命』と『働き方改革』と二つの重要な言葉が入っていますので、書店でこのタイトルを見た瞬間、無視するわけには行かず、購入して年始に読破しました。
タイトルを見る限りでは「仮想通貨」がメインであって、「働き方改革」はサブな感じがしますが、実際の中身は逆でした。
仮想通貨のことは10%も触れていないのではないでしょうか。内容の大半が「働き方改革」についてです。
なので、投機目的で仮想通貨を学びたい人には本書はあまりお勧めしません。もっと良い書籍があるかと。
では、この書籍に価値なかったかと言えば、そんなことはありません。世界の経済の潮流(伸びている産業、伸びている国)を事例に挙げつつ、日本の組織(企業)の問題点、政策の問題点をわかりやすく指摘しています。
問題点の指摘が、各論に偏らず、世界という「横軸」と、時代の流れという「縦軸」を示しながら記されているので、読み手としては、全体を俯瞰しながら読み進めることができました。
経営者だけでなく、企業に属している正社員、フリーランサー、そして現在就職活動中の学生まで。
各立場の人が、本書に書かれた情報を基盤に『働き方改革』を会話できたら、とても建設的な会話ができる気がします。
仮想通貨で社員に賞与を支払ったり、フリーランサーに報酬を支払えないか?
弊社で2017年から少しずつ増えてきた海外の企業との取引も仮想通貨を使えば手数料、関税が節約できるのではないか?
・・・そんなことをもう少し詳しく知りたいと思い、購入した書籍ですが、そこの期待は満たされず、、、しかし、思わぬ収穫があった年始の一冊でした。
「働くこと」を本質から考えられる良書でした。